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第1章 プレーオフ考③【一に制球力、二にトーナメント戦法】
こうして見ていくとロッテはパ・リーグのプレーオフ制度を十二分に活用して日本一の座を握ったことになる。では、ロッテが短期決戦のプレーオフでなぜ力をつけ、ペナント戦で後塵を拝したソフトバンクを撃破し日本シリーズでも阪神を圧倒できたのか。その理由は!投手陣のコントロール!トーナメント戦法―の2つが挙げられると思う。
ロッテ投手陣のもっとも優れた点は内角を効果的に突けることだ。しかも打者にぶつけないだけの制球力を持っている。こう書けば、今のプロ野球の投手はそんなにレベルが低いのかということになるが、実際インコースに投げると打者にぶつけてしまう投手が少なくないのは事実だ。
打者に当てずにインコースに投げる。そこにピッチングの極意はある。たったこれだけで打者は体重がかかとにかかってしまう。腰が引けてバランスが崩れるのである。ソフトバンクの松中、阪神の金本・・・。内角球で揺さぶり、このコースを意識させておいて外角にフォーク。するとあっけなく仕留められることになる打者を崩すのは実に簡単な原理なのだ。こういう攻め方に崩されたくなければ、現役時代の落合博満のように最初から最後までひとつの球種、コースを徹底して追求する頑固さが必要だが、残念ながらそれには落合に劣らないほどの絶対的な自信を持つものでなければできない。
一方、打線は1点を積み重ねる接戦型の攻撃を展開した。上位の西岡、堀、福浦、サブローがつないで先制、6、7番の大砲ベニー、李承でダメ押しというパターン。他球団なら3、4番を打つ外国人2人が下位に座るのがロッテの特徴だ。基本はつなぎの野球。本塁打はあくまでプラスアルファのダメ押し点と考える確率重視のトーナメント野球なのである。
こういうチームは短期戦には強い。そしてレギュラーシーズンと同じ戦法でプレーオフに勝ち、そのことで選手は大きな自信をつかんだ。日本シリーズではさらに強くなったロッテがいたのだ。
こうして見ていくとロッテはパ・リーグのプレーオフ制度を十二分に活用して日本一の座を握ったことになる。では、ロッテが短期決戦のプレーオフでなぜ力をつけ、ペナント戦で後塵を拝したソフトバンクを撃破し日本シリーズでも阪神を圧倒できたのか。その理由は!投手陣のコントロール!トーナメント戦法―の2つが挙げられると思う。
ロッテ投手陣のもっとも優れた点は内角を効果的に突けることだ。しかも打者にぶつけないだけの制球力を持っている。こう書けば、今のプロ野球の投手はそんなにレベルが低いのかということになるが、実際インコースに投げると打者にぶつけてしまう投手が少なくないのは事実だ。
打者に当てずにインコースに投げる。そこにピッチングの極意はある。たったこれだけで打者は体重がかかとにかかってしまう。腰が引けてバランスが崩れるのである。ソフトバンクの松中、阪神の金本・・・。内角球で揺さぶり、このコースを意識させておいて外角にフォーク。するとあっけなく仕留められることになる打者を崩すのは実に簡単な原理なのだ。こういう攻め方に崩されたくなければ、現役時代の落合博満のように最初から最後までひとつの球種、コースを徹底して追求する頑固さが必要だが、残念ながらそれには落合に劣らないほどの絶対的な自信を持つものでなければできない。
一方、打線は1点を積み重ねる接戦型の攻撃を展開した。上位の西岡、堀、福浦、サブローがつないで先制、6、7番の大砲ベニー、李承でダメ押しというパターン。他球団なら3、4番を打つ外国人2人が下位に座るのがロッテの特徴だ。基本はつなぎの野球。本塁打はあくまでプラスアルファのダメ押し点と考える確率重視のトーナメント野球なのである。
こういうチームは短期戦には強い。そしてレギュラーシーズンと同じ戦法でプレーオフに勝ち、そのことで選手は大きな自信をつかんだ。日本シリーズではさらに強くなったロッテがいたのだ。
第1章 プレーオフ考②【若手の急成長が呼んだロッテの快進撃】
若い選手はたった1試合で成長する。私だってそうだったからロッテの若い選手たちの急成長ぶりはうよく分かるのだ。
昭和28年、西鉄ライオンズに入団した私は外角球がまったく打てなかった。内角は自信があったが、外角球、特に逃げるスライダーがだめだった。シーズンの最初は得意なインコースをガンガン打っていたが、そのうち弱点を覚えられた。苦手な外角を攻められると当たりがぱったり止まってしまった。
そんなとき、ある打席で苦手な外角スライダーが来た。どういうわけかタイミングが少し遅れ、「あ、いかん!」と、とっさに右手をまっすぐ出したのだった。すると打球は右翼手の頭上を鋭く越える絶好の当たりになった。それまで私は外角のスライダーを左手リードのスイングで打ってきた。ところが、外角の逃げる球に対して左手主導のスイングでは、バットとボールの角度を90度の直角でミートすることができなくなる。空振りか、当ててもこすった打球が関の山だった。ところが、右手でバットを出すとボールをしっかりつかまえることができたのだ。
「これだ」と思った。まったくけがの功名だったが、外角スライダーの対処法がつかめた気がした。この一打は私に上達の感覚をはっきり残した。そうなると、打席に入っても余裕が生まれる。外角スライダーが待ち遠しくなり投球がよく見えてくる。2度、3度といい当たりが続くと、すっかり自信がついてきた。昭和33年のデビュー戦で国鉄・金田庄一に4打席4三振を食った長嶋茂雄がそこから金田を打ち崩していったように若い選手は思わぬ経験で一瞬にして上達するものなのだ。
ロッテもプレーオフ第1ステージの2試合で一気に強くなった。プレーオフの舞台が福岡に移ったときはソフトバンクを力で上回っていた。ソフトバンクにとってはロッテの“伸びしろ”が大きなハンディとなりプレーオフでの敗退につながった。
若い選手はたった1試合で成長する。私だってそうだったからロッテの若い選手たちの急成長ぶりはうよく分かるのだ。
昭和28年、西鉄ライオンズに入団した私は外角球がまったく打てなかった。内角は自信があったが、外角球、特に逃げるスライダーがだめだった。シーズンの最初は得意なインコースをガンガン打っていたが、そのうち弱点を覚えられた。苦手な外角を攻められると当たりがぱったり止まってしまった。
そんなとき、ある打席で苦手な外角スライダーが来た。どういうわけかタイミングが少し遅れ、「あ、いかん!」と、とっさに右手をまっすぐ出したのだった。すると打球は右翼手の頭上を鋭く越える絶好の当たりになった。それまで私は外角のスライダーを左手リードのスイングで打ってきた。ところが、外角の逃げる球に対して左手主導のスイングでは、バットとボールの角度を90度の直角でミートすることができなくなる。空振りか、当ててもこすった打球が関の山だった。ところが、右手でバットを出すとボールをしっかりつかまえることができたのだ。
「これだ」と思った。まったくけがの功名だったが、外角スライダーの対処法がつかめた気がした。この一打は私に上達の感覚をはっきり残した。そうなると、打席に入っても余裕が生まれる。外角スライダーが待ち遠しくなり投球がよく見えてくる。2度、3度といい当たりが続くと、すっかり自信がついてきた。昭和33年のデビュー戦で国鉄・金田庄一に4打席4三振を食った長嶋茂雄がそこから金田を打ち崩していったように若い選手は思わぬ経験で一瞬にして上達するものなのだ。
ロッテもプレーオフ第1ステージの2試合で一気に強くなった。プレーオフの舞台が福岡に移ったときはソフトバンクを力で上回っていた。ソフトバンクにとってはロッテの“伸びしろ”が大きなハンディとなりプレーオフでの敗退につながった。
第1章 プレーオフ考①【勝率5割以下「西武」に戦う権利はなかった】
ソフトバンクが2年続けてパ・リーグの勝率第1位になりながら、日本シリーズに進めなかった。ヤフードームでのプレーオフ第2ステージを私も取材したが、第5戦で敗れた王監督がベンチからロッテの胴上げシーンをぼう然とした表情で見守っている姿に深く同情した。私だって割り切れない思いが強く残ったのだ。王監督本人はそれこそ煮えたぎるような悔しさをかみ殺していたのではないか。昨年から導入されたパ・リーグのプレーオフ制度。結果的には悪法といわざるを得ない。連載の最初にこれだけは言いたいと思い、まずはプレーオフを考えてみたい。
主な問題点は3つあった。ひとつは勝率5割に満たなかった西武(67勝69敗)にプレーオフに進む権利はあったのかとういう点だ。私はなかったと思う。それは西武の選手もよくわかっていたはずだ。松坂、西口で接戦こそ演じたが、もうひとつ燃えるような闘争心は見えなかった。昨年のプレーオフではしたたかさを見せつけた西武だけに、今年の淡泊な戦いぶりはやはりナインの気持ちの反映だろう。「勝ってはいけない。あまりにも失礼だ」という“借金球団”の遠慮が腰を引いたプレーにつながったのである。
第2点は王監督も指摘したように「日程の上で待たされた」というハンディだ。待たされるということは単に調整が難しいということだけではない。プレーオフ第1ステージを戦う中で若いロッテが実戦を通して急激に力をつけた。相手の急成長が実は大きなハンディになったのである。
待っている間に相手はめきめきと力をつけてくる。対戦相手がたくましく成長していく間に、自らの腕は後ろ手に縛られたまま待たされるのである。調整などよりこちらのハンディが実は大きかった。ロッテはあっという間に強くなった。野球選手にとって若さとは成長の早さのことだ。私にも経験がある。それは次回に書きたい。
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ソフトバンクが2年続けてパ・リーグの勝率第1位になりながら、日本シリーズに進めなかった。ヤフードームでのプレーオフ第2ステージを私も取材したが、第5戦で敗れた王監督がベンチからロッテの胴上げシーンをぼう然とした表情で見守っている姿に深く同情した。私だって割り切れない思いが強く残ったのだ。王監督本人はそれこそ煮えたぎるような悔しさをかみ殺していたのではないか。昨年から導入されたパ・リーグのプレーオフ制度。結果的には悪法といわざるを得ない。連載の最初にこれだけは言いたいと思い、まずはプレーオフを考えてみたい。
主な問題点は3つあった。ひとつは勝率5割に満たなかった西武(67勝69敗)にプレーオフに進む権利はあったのかとういう点だ。私はなかったと思う。それは西武の選手もよくわかっていたはずだ。松坂、西口で接戦こそ演じたが、もうひとつ燃えるような闘争心は見えなかった。昨年のプレーオフではしたたかさを見せつけた西武だけに、今年の淡泊な戦いぶりはやはりナインの気持ちの反映だろう。「勝ってはいけない。あまりにも失礼だ」という“借金球団”の遠慮が腰を引いたプレーにつながったのである。
第2点は王監督も指摘したように「日程の上で待たされた」というハンディだ。待たされるということは単に調整が難しいということだけではない。プレーオフ第1ステージを戦う中で若いロッテが実戦を通して急激に力をつけた。相手の急成長が実は大きなハンディになったのである。
待っている間に相手はめきめきと力をつけてくる。対戦相手がたくましく成長していく間に、自らの腕は後ろ手に縛られたまま待たされるのである。調整などよりこちらのハンディが実は大きかった。ロッテはあっという間に強くなった。野球選手にとって若さとは成長の早さのことだ。私にも経験がある。それは次回に書きたい。
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